はじめに
こんにちは。株式会社スリーシェイク Sreake 事業部に所属している @suganamao です。
Sreake 事業部は技術力が求められる領域で豊富な経験を持つ SRE の専門家が集まったチームです。事業部にはさまざまな背景を持つ SRE の専門家が多く在籍してます。
その SRE の専門家の中に DBRE チームが 2022 年 12 月に発足しまして、私は 2023 年 3 月からジョインしました。これまでは、DBA を主にやってきましたので、DBRE としては、まだ駆け出し、といったところです。
ジョインする前、キャッチアップのために「データベースリライアビリティエンジニアリング」の本を購入して読み進めていましたが、ひとりで読んでいると眠くなってしまい、読了できなかったのを思い出します。
データベースリライアビリティエンジニアリング ―回復力のあるデータベースシステムの設計と運用
ジョインして間もなく、社内で「SREの探求」輪読会が開催されていることを知り、輪読会に参加しました。
SREの専門家が集まったチームで『SREの探求』の社内輪読会をやっているという話 – じゃあ、おうちで学べる
この輪読会にインスパイアされて真似したくなり、DBRE の輪読会を妄想していました。DBRE チームの歴史が浅く、ナレッジが蓄積していない、といった背景もあり、まずは「データベースの輪読会」をやりたい!と考えていました。
また、その頃、DB 関連の技術書を社内の Notion で推薦していたのですが、それが当社プロダクトの Securify Scan (当時のプロダクト名) 開発リーダーの目に留まり、「データベース輪読会やりましょう!」と意気投合して、あっという間に輪読会の書籍購入、開催スケジュールが決まりました。
データベース輪読会の対象書籍
輪読会の書籍として「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」を選びました。選んだ理由としては「データベースにまつわる汎用的なアンチパターンであること」、「データベースを使わないシステムは(ほぼ)ないこと」が挙げられます。あとは、データベースのアンチパターン集ならば、「他山の石のような感覚で、プロダクト開発者や SRE の専門家にも興味持ってもらえるのでは」という期待もありました。
44のアンチパターンに学ぶDBシステム (DB Magazine SELECTION)
あらためて読み返しているのですが「はじめに」の部分が個人的にグッとくるので著書から引用します。
現場での痛い経験や失敗経験、これほど自分の成長になるものは他にないと思います。振り返ってみれば、筆者もずいぶんと失敗をしてきました。(中略)世の中には1つとして同じプロジェクトはないのですが、各現場が苦労している原因や症状は似ているなあと実感します。(中略)そこで、このような失敗事例や落とし穴の紹介があれば、きっと多くの皆さんの役に立つと考えました。それが本書に載せた、DB に関する一連のアンチパターンを書くきっかけです。IT 業界で落とし穴の紹介と言えば、「アンチパターン」が有名です。(中略)少し古い本ですが、今でも色褪せていないと筆者は思います。
上で書いている「アンチパターン」はこちらです。
著者のブログも紹介しておきます。
データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ 拙著「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」が発売になりました
輪読会の形式
自社プロダクトを開発する Incubation 事業部の開発者と Sreake 事業部の DBRE チームが共同で開催・運営する形式で、毎週オンライン会議に集まり、全10回に渡って開催されました。基本的な進め方は「SREの探求輪読会」を踏襲した形式です。
以下に、自分が担当した会の Notion をお見せします。黄色くハイライトされた箇所に、参加者のコメントがあります。
輪読会をやってみての感想
SRE の専門家達やリーダーも参加してくださり、様々な意見が飛び交って、楽しくワイワイしながら、最後までやり切ることができて嬉しかったです。
印象的だったのは「DBA が居る現場は、なかなか無いよね」とか「スタートアップには DBA を雇う余裕がない」など、DBA に対する率直なコメントもあり、オンプレミスのエンタープライズなシステムを中心に見てきた自分にとって、色々と考えさせられました。
また、書籍が 2009 年の発行という背景もあり、オンプレミス時代の考え方が中心だったので、そこから脱却してクラウドネイティブな考え方を身に付けたり、DBRE 的な考え方にシフトしていかねば、とも思いました。脳内 OS のバージョンアップが必要ですね。
終了後の自分のコメントです。
参加いただいた皆様、お疲れ様でした。DB輪読会が実現し、無事に最後までやり遂げられたのは @ToyB0x さんのリーダーシップ、スピード感と勢い(書籍購入申請まで早かったですね)の賜物です。発表者の方もお疲れ様でした。またどこかでお会いしましょう!
@ToyB0x さん(開発リーダー)からのコメントも紹介します。
DBREチームの皆様、参加者の皆様お世話になりました! Securify ScanチームメンバーにとってDBのパフォーマンスや安定性を考える良いきっかけとなった上に、実際のアクションとして輪読会の内容を踏まえてスロークエリの監視体制や改善体制の構築が出来たため大いに役立ちました 🙇♂️
おわりに(次の展開)
輪読会を運営するのは、貴重な体験でしたし、勉強にもなりました。
さて、データベース輪読会を今年 7 月に終え、現在は、冒頭で触れた、念願の「データベースリライアビリティエンジニアリング輪読会」を開催・運営しています。
今回は「エクストリーム リーディング」と呼ばれる形式にチャレンジしていまして、30分の枠で、前半は黙読、後半はディスカッション、といった流れで進めています。深い理解が得られる反面、じっくりと進むのでスローペースです。こちらも読了したら、またブログを書けたらと思います。